以前、ラーメンを食べに行った時のことだ。
その店は小さく、背中合わせのカウンター席が10席ほどあるほどだ。
僕は壁側のカウンターに腰掛けて、壁に書いてあるメニューを一通り見て、結局いつも食べるやつを注文しようと厨房の方を振り返った。
すると厨房側に座ってラーメンを食べていた若い兄ちゃんがこちらを見ていた。
2秒ほど目が合ったが僕は目をそらして店員さんにラーメンを頼んだ。
あの兄ちゃんはなんでこっちを見ていたのだろうか、、、
知り合いではないと思う。
もしかしたらヤンキーなのでは。
「テメェ何ガンたれてんだよぉ」的なパターンか、、
「テメェ表出ろやぁ」パターンか、、
どちらにしても僕を怒らせるのはよくない。
僕を怒らせると真っ先にお母さんが出てくるのだ。
ある意味、一番恐いパターンだ。
そんな妄想を膨らましながらラーメンをすすっていた。
しばらくして、店員さんの「ありがとうございまーす!」の声が店内に響いた。
僕はなんとなく後ろを振り返った。
ちょうどそのお兄さんがお会計をされていたのだが、会計時もこちらを見ている。
これはヤンキーパターンよりももっと厄介なケースかも、、、
「すみません、実は俺あなたが好きです!」
みたいなボーイズラブ的な、、
いや、もはやただのおっさんずラブだ。
そんな誰も得しない妄想を働かせていると、会計を終えたお兄さんは出口ではなくまっすぐに僕の方に歩いてきたのだ。
ケンカor告白
いつのまにかその二択に絞り込んでいた僕は焦った。
どっちも地獄だ。
ケンカになった場合は、「どうか顔面はやめて下さい、でもお腹も嫌です。なんとかしっぺで許してもらえないですか?」
って言うしかない。
告白された場合は、「いや、まだ出会って間もないし、あなたのこと何も知らないのでまずは友達から始めませんか?」
って言うしかない。
この二つのセリフを心に、覚悟を決めた僕はお兄さんと向き合った。。
お兄さんが口を開いた。
「すみません、その服〇〇の服ですよね?それ同じの買おうと思って悩んでたんです。着心地どうですか?」
俺のドキドキ返して。